
中日経済交流の現場から見たヒト、モノ、カネの流れ(その5)
日系企業のこれから 日系企業の今後の展開は、地理的には中国内陸部や東北部へ向かい、さらに金融の面での比重を強めていくだろうと思われる。
ブラザー工業株式会社は、深圳と珠海にプリンターや家庭用ミシンの工場を持っているが、工業ミシンの工場は西安に置いている。兄弟高科技(深圳)有限公司の永井毅
?董事長は、「プリンター部品の調達のやり易さから見れば、深圳は最適地であり、我々の工場の近辺に、アジアでもっとも優れた部品ベンダーがある」と語った。
また、珠海兄弟工業有限公司の浅野正康董事長は、物流のよさ、「改革
?開放」政策を実施して以来の外資に対する理解度の深さから、「珠海での家庭用ミシンの生産はきわめて順調。ここ数年、生産量は大きく増加してきた」と満足げだった。
珠海兄弟工業有限公司浅野正康董事長 しかし、中国沿海部への労働力の供給は次第に頭打ちとなり、工場用地の不足も目立ってきた。新規の投資は内陸部へ転換して行かざるを得ない。ブラザー工業の兄弟{ミシン}縫纫機(西安)有限公司の森井敏
?董事長は「内陸部と沿海都市の間に鉄道や高速道路が整備されてきたので、工業ミシンを組み立てるための部品調達はさほど不便を感じません。むしろ西安あたりの労働力は豊富であり、労働力不足に対する心配はありません」と、陝西省に立地したメリットを語る。
中国東北部も日系企業の注目を集めている。すでに大連に自動車用の配線などを生産する工場を持っている三菱電線株式会社の五十嵐寿彦社長は、中国自動車市場の急速な成長に着目して、今後は大連を拠点にして中国市場の開拓を考えているという。東北の工業生産技術、大学などの研究開発能力などは再評価されており、内陸部の進出にともなって、東北部も日系企業の新しい投資対象になりつつある。
一方、日本の資金力を背景にして、中国で新しいビジネスを開始しようとする企業も現れている。北京に長年滞在した経験を持つ東亜キャピタル株式会社の津上俊哉社長は、二〇一〇年には中国の環境保全、省エネへの投資需要がピークを迎え、中国国内企業の力だけでは資金的に不足を生じるだろうと考えている。
津上社長は東京のオフィスで「日本企業は技術などを持っており、中国に市場があるが、金融の面で十分なサポートができたら、日本企業も中国企業も十分なビジネスができる。福田首相が訪中した際、環境の面で日中両国の協力を約束したし、今春の胡錦涛総書記の訪日で、両国の共通の利益になる環境事業について再度話し合われることになるだろう」と語った。環境保護への金融面からの支援があれば、中日間の経済交流の展開は新たな段階を迎えるだろう。
原载《人民中国》2008年4月